近年、運動パフォーマンスの向上効果からクレアチンサプリメントが数多く販売されています。先日、お客様からクレアチンについてのご質問がありましたので、今回まとめてみました。
特に今回のご相談では、ラグビーをする中学生の子供さんの摂取についてのご質問でしたので、その点も踏まえて安全性と注意点をお伝えできればと思います。
これまでの多くの研究によって、クレアチン摂取後の運動で筋力や筋持久力、筋肥大、パフォーマンスの向上効果が示されています。
体内には運動に必要なエネルギー経路がいくつかあり、特に「瞬発系」の運動時にクレアチンが効果的とされています。
瞬発系とは、ラグビーやウエイトリフティング、100m走など短時間に高強度なパワーを必要とすような運動です。
体内のクレアチンはほとんどが筋肉で保存されており、十分なクレアチンが補給されている状態では十分なパフォーマンスが発揮されると考えられています。文献によっても様々ですが、10%前後から30%程度の向上が報告されています。
研究によって、クレアチンの安全性が示されています。国際スポーツ科学栄養学会(ISSN)では、安全性をA評価しています。しかしながら、私が調べていると、ネットに溢れる情報の多くはサプリメントを販売している会社のものであり、その情報は基本的に良い面が強調されています。医療的な視点で書かれた記事では、腎臓への負担の大きさや薬との併用に関する注意点が示されています。
サプリメントや健康食品に関して言えることですが、クレアチンの摂取があなたの目的と合致しているかが重要です。個人的な意見として、クレアチンを摂取する目的が「筋肉を大きくしたい(ボディビルの大会を目指すなど)」、「プロアスリートなど真剣かつ競争的に取り組んでいる場合」や、「リスクを承知で摂取したい場合」には、クレアチンの摂取をおすすめします。
こうした運動を行う人にとって、通常の食品からクレアチンを摂取するのは大変な食事量になりますので、サプリメントが推奨されています。
また、クレアチンを大量に補給する状況や生活習慣にない人は、摂取を慎重に考えるべきだと思います。
サプリメントやプロテインなどは通常の食品から摂取するよりも一度に大量の栄養素が体内に入るため、肝臓や腎臓に負担をかける可能性があります。そのため、必要性を十分に考慮した上で摂取することをおすすめします。
今回のケースでは、中学生の子供さんが高校でラグビーを続けるかどうかわからないとのことで、競技を通じて大きなけがなく、社会性や体力向上を目指したいとのことでした。このような場合、クレアチンは効果的で安全性も高い栄養素として考えらます。しかし、ご両親が子供の栄養管理を行う事は大変である事を理解した上で、まずは計算された栄養バランスを基準にして、その上でパフォーマンスに関する問題を子供さんと一緒に考えていくことが重要です。とお伝えしました。
薬との相互作用や注意点についてご紹介します。
・クレアチン
多量摂取で腎毒性の強い薬物との相互作用により、腎障害の悪化の可能性が指摘されています。
厚労省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/6-004.html
・鎮痛剤
・抗がん剤
・抗生物質
・造影剤
・高血圧の薬
鎮痛薬・抗がん剤・降圧薬は腎臓に悪い?薬剤性腎障害を引き起こす薬 | NHK健康チャンネル
一般的には中高年の方ほど高血圧の薬など飲まれている方が多いです。
そのような方は危険を伴う事もあるので、かかりつけのお医者さんとご相談の上摂取を検討してください。
持病等がなくても、市販されている鎮痛剤は手に入りやすいかと思います。
一時的ではあっても、痛みを和らげたり、風邪薬だったり、併用は注意してください。薬剤師さんなど専門の方に相談の上、服用・摂取を検討してください。
摂取を考えている方に、効果的な摂取方法をご紹介します。
糖質を摂取すると血糖値が上昇します。
その血糖値を下げるためにインスリンが分泌されます。
このインスリンが出ている間は、クレアチンの吸収率が高いとされているので、クレアチンと一緒に糖の摂取が効果的です。
パフォーマンスを上げようとして、朝やトレーニング前にクレアチン摂取する方も多い印象ですが、タイミングごとの除脂肪体重の増加幅を研究した文献によると、「トレーニング後」に摂取した時が一番大きな増加幅になったとあります。
もし、1日に1回しか飲まない、または効率的に飲みたい方であればトレーニング後をおすすめします。
もし、クレアチンを摂取しているけれど効果が感じられないという方はこの辺りも意識して取り組んでみてはいかがでしょうか?
今回はクレアチンの摂取について、安全性と注意点をまとめてみました。